2014年9月25日に晴海にある日本IBMさんにて、「POWER8 徹底解剖! ~インフラエンジニアなら知っておきたいPOWERのイマ~」というイベントが開催されましたので、お邪魔になるかなぁとビクビクしながら参加してきました。
# 誘っていただいた@SRCHACK.orgさん、ありがとうございます!
まず始めにPOWER8は今までのものとはどう違うのかというプレゼンがありました。
とりあえずイキナリ度肝を抜かれたのは、1コア8スレッド(IBMさんは8WAYと説明されていました)、12コアモデルになったということです。この時点で某IntelのHyper-Threadingとか置き去り感があります。
某IntelのHaswall-EPのE5-2699v3で18コア36スレッドなので、その圧倒的ぶりが伺えます。
だいたいこのクラスになると2Socketで使用することが多いのでPOWER8の場合は192スレッドです。クロックも3.02から4.15GHzまであるので充分でしょう。
プレゼン資料にもベンチマークが掲載されていますが、同クラスで比較してもそのパフォーマンスが優位なことが伺えます。
また昨今は某ioDriveなどのフラッシュストレージ全盛なわけですが、POWER8についてはメモリバンド幅が230GB/s、IOバンド幅も192GB/sという早々お目にかかることの出来ないレベルで実装できたとのことです。これらのパフォーマンスの向上はフラッシュストレージなどをさらに有効的に活用できることになるでしょう。
またさらにこれらを最大限活用するために、IBMはCAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)という規格も用意されているようです。CAPIがなかったときと比較してもRead/Writeコマンド発行時に命令される命令数が97%削減できるそうです。それだけオーバーヘッドが削減できればレイテンシーなどを気にするようなところでは、今までのよりも一段高いレベルで活用できるようになるのでは無いでしょうか。
また上記に関連してOpen POWER Foundationが設立されたということもお話されていました。
GoogleがIntelからPOWERに乗り換えるという画期的な発表があり、POWERの優位性がgoogleに認められたというのは、市場からしても非常に大きなインパクトだったと思います。
また他にUbuntu、nVidia、Fusion-IO、Mellanox、Tyanなどそうそうたるメンバーが軒を連ねています。
この話の中でPOWER8を持ってIBMはオープン性を強く押し出していくことを何回も強調していました。ここまで業界のトップベンダーが並んでいて且つオープン性を強調するのであれば、是非とも一般市場にも打って出てほしいと個人的には思います。
実際に今でもSuperMicroなどは少量ながら一般市場には販売していますし。
先に言ってしまうと、結局はエンジニアに使ってもらわないと、その先進性もパフォーマンスも信頼性も知ることが出来ません。エンジニアと言うのは紙に書いてあるスペックよりも実績や経験則を重視する傾向にあると思います。
IBMがSystem zで培ってきた信頼性(RAS)も、結局のところ使ってもらわないことにはわからないわけです。
オープン性、未来を見据えたプロセッサーであってもいろいろな場所に出てきてもらわなければ、エンジニアは見向きもしないと思います。ですので積極的にエンジニアに訴えかけるようなマーケティングをしてほしいなぁというのが個人的な意見でした。
また、POWERに絡んでLinux on POWERというのも紹介されていました。
従来POWERはビッグエンディアンを採用していたとのことですが、x86との互換性を高めるためにリトルエンディアンをサポートしたということで、移行に関する効率が大幅に向上したとのことです。
説明中にもあったのですが、Ubuntu向けにパッケージをリコンパイルするのに、9,000パッケージが一回のリコンパイル作業で終わったそうです。
サポートされるディストリビューションもRHEL 6.5やSuse、Ubuntuなどが対応しているとのことでした。日本の市場でよく使われているディストリビューションがサポートされているということは、現在の環境への親和性も非常に高いし、移行に関する手間も少なくて済みそうです。
IBMさんに於かれましては、POWER8の先進性、オープン性、信頼性など、小さな輪の中でだけでなく、エンジニアを巻き込んだ形でアピールしていって欲しいなぁと思います。
せっかく打倒Intelとか市場を大きくしたいと野望を語っていらっしゃったのですから。
この後、実際にPOWER8を載せた実機を見せていただけることが出来ました。
ケースを開けた時の皆さんの食いつきっぷりが非常に面白かったです。
写真を掲載いたします。
System zで実績のある無停止のための仕組みが盛り込まれていること、メモリも大容量を実現し且つ高速化を損なわないために、L4キャッシュを外付けに付けていること、など面白い仕組みを直接見ることが出来て良かったです。
POWER8搭載のLinux専用サーバにも脈々としたSystem zのちが流れていることを実感しました。
またその後開催された懇親会も非常に盛り上がりました。
私は失礼ながらも、もっとエンジニアにアピールして欲しいことや、もっと身近に使える存在になってほしいということを伝えたつもりです。
またおみやげとして頂いたのですが、なんとPOWER7のウェハーチップのキーホルダーを頂きました。どうやら社員の方も持っている方が少ないらしく非常に貴重なものをいただくことが出来ました。あのときの歓声はちょっとすごかったです。
IBMにご興味のある方はご存知だと思いますが、IBMが誇るプロセッサ、POWERについてはメインフレームであるSystem zで培われた高信頼性のプロセッサです。
それの新型が出たということで中々聞く機会は無いわけですが、そちらをエヴァンジェリスト(しかも3名!)から直接お話しを聞けるというのは非常に貴重な機会でした。
本当に貴重な機会をいただきありがとうございました。
乱文雑文でPOWER8の魅力の1割も語れていない気がしますが、微力ながら応援できればと思っております。
その他:
POWER8 Linux 専用サーバ96万円だそうです。
参考: